大学出版部協会

 

哲学論集自然主義と宗教の間

叢書・ウニベルシタス1018
自然主義と宗教の間 哲学論集

四六判 470ページ 上製
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-588-01018-7 C1310
奥付の初版発行年月:2014年10月 / 発売日:2014年10月中旬

内容紹介

哲学と宗教の関係をめぐるハーバーマスの主著。市民による公共的な論争への参加の重要性を論じ、脱超越論化した理性のあり方を問う。行き過ぎた科学主義、正統主義的な宗教意識の覚醒など、政治文化の危機を乗り越え、ポスト形而上学的思考に新たな地平を切り開く。あわせて幼少期の他者関係への目覚めから公共性理論の形成に至る、ハーバーマス自身が自らの知的遍歴を語った京都賞受賞記念講演も収録。

著者プロフィール

J.ハーバーマス(ハーバーマス ユルゲン)

(Jürgen Habermas)
1929年ドイツのデュッセルドルフ生まれ。ゲッティンゲン、チューリヒ、ボンの各大学でドイツ文学、心理学、社会学、哲学を修め、56年フランクフルト社会研究所のアドルノの助手となり、フランクフルト学派第二世代としての歩みを始める。61年『公共性の構造転換』で教授資格を取得し、ハイデルベルク大学教授となる。64年フランクフルト大学教授、71年マックス・プランク研究所所長を歴任、82年以降はフランクフルト大学に戻り、ホルクハイマー記念講座教授を務め、94年退官。60年代末のガダマーらとの解釈学論争、ルーマンとの社会システム論争、さらに『コミュニケーション的行為の理論』(81)をはじめとする精力的な仕事、86年の歴史家論争以降の多方面にわたる社会的・政治的発言を通じて、ドイツ思想界をリードし、国際的にも大きな影響を与えてきた。2004年11月には「京都賞」を受賞。主な著書に、『史的唯物論の再構成*』(76)、『近代の哲学的ディスクルス』(85)、『遅ればせの革命』(90)、『討議倫理*』(91)、『事実性と妥当性』(92)、『人間の将来とバイオエシックス*』(01)、『引き裂かれた西洋*』(04)、『ああ、ヨーロッパ』(08) などがある(*は小局刊)。

庄司 信(ショウジ マコト)

1958年生まれ。日本赤十字秋田看護大学非常勤講師。社会哲学・社会学。主な著作に、「自己形成論序説」(秋田経済法科大学編『経済学部紀要』第28号、1998年)、アクセル・ホネット『正義の他者』(共訳、法政大学出版局、2005年)、アルブレヒト・ヴェルマー『倫理学と対話』(共訳、法政大学出版局、2013年)、クリスティアン・ボルフ『ニクラス・ルーマン入門』(単訳、新泉社、2014年)など。

日暮 雅夫(ヒグラシ マサオ)

1958年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。社会哲学。主な著作に、『討議と承認の社会理論──ハーバーマスとホネット』(勁草書房、2008年)、『批判的社会理論の現在』(共編、晃洋書房、2003年)、アクセル・ホネット『正義の他者』(共訳、法政大学出版局、2005年)、「承認論の現代的座標──ホネット社会理論の展開」(『思想』No.935. 岩波書店、2002年)など。

池田 成一(イケダ シゲカズ)

1953年生まれ。岩手大学人文社会科学部教授。社会文化思想論。主な著作に、『〈文化〉を考える』(共著、御茶の水書房、2008年)、『賢治とイーハトーブの豊穣学』(共編、大河書房、2013年)、マーティン・ジェイ編『ハーバーマスとアメリカ・フランクフルト学派』(共訳、青木書店、1997年)、アクセル・ホネット『正義の他者』(共訳、法政大学出版局、2005年)など。

福山 隆夫(フクヤマ タカオ)

1948年生まれ。東京慈恵会医科大学教授を経て、現在同大学講師。哲学・倫理。主な著作に、『物象化と近代主体』(共編、創風社、1991年)、「解放の倫理─フランクフルト学派」(『現代倫理学の展望』、勁草書房、1986年所収)、アクセル・ホネット『正義の他者』(共訳、法政大学出版局、2005年)、「医療におけるスピリチュアリティ」(『唯物論研究年誌』12号、唯物論研究協会編、青木書店、2007年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序文

第一部規範に導かれた精神の間主体的なあり方
第1章公共空間と政治的公共性
     二つの思想的主題の生活史的ルーツ
第2章コミュニケーション的行為と理性の脱超越論化
     友人トム・マッカーシーの還暦を祝って
第3章討議の差異化の建築術
     大きな論争への小さな返答

第二部宗教的複数主義と国家公民的連帯
第4章民主主義的法治国家における政治以前の基礎
第5章公共圏における宗教
     宗教的市民と世俗的市民の「公共的理性使用」のための認知的諸前提

第三部自然主義と宗教
第6章自由と決定論
第7章「確かに私自身が自然の一部である」──理性の自然との絡み合いについて語るアドルノ
     自由と自由処理不可能性との関係についての考察
第8章信仰と知の境界
     カントの宗教哲学の影響史と現代的意義によせて

第四部寛容
第9章宗教的寛容
     文化的諸権利のペースメーカー
第10章文化的な平等な取り扱い──そしてポストモダン・リベラリズムの限界
第11章複数主義的世界社会のための政治体制

訳者あとがき
初出一覧

索引


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