内容紹介
いまや政治に“まつりごと”の面影なく,世界は一つの意味として,“書物”として読み解かれることをやめる.語源説,精神分析そして現象学の手法を駆使して,仮面と鬼面のたわむれの方向へ新たな言語思想をめざす著者の第一作が蘇る.【解題/熊野純彦】
「…ここには,西欧語による思考をじゅうぶんに潜りぬけ,理性の言語をたどったその果てに,この国のことばにあくまで寄りそい,つきしたがいながら,現実の可能性を枠どる「夢」がそこをめぐって到来する「通い路」をもとめて,一箇の普遍的な思考を築きあげようとするこころみがある.そこでは,文体それ自体こそがひとつの思想なのである.」(熊野純彦「解題」より)
目次
1章 〈おもて〉の解釈学試論
1 〈おもて〉の境位
2 〈かげ〉についての素描
3 あらわれとCopula
2章 仮面の論理と倫理にむけて
1 仮面と人格
2 固有名詞と仮面のあいだ
3章 日本語の思考の未来のために——欧米語と日本語の論理と思考
4章 しるし・うつし身・ことだま
1 しるし
2 うつし身
3 ことだま
あとがき
解題 夢の通い路——本書を手にする読者のために 熊野純彦